こんにちわ!産婦人科医のとんたんです。
妊婦健診でエコーで見ていることはなんだろう?と、ママさんは気になりますよね。

初めての出産だと、エコーの検査はお会計のバーコードの読み取り機みたいで不思議でいっぱいよね(笑)
まず通常時は 赤ちゃんの体重・羊水量 の2つで、 赤ちゃんの体重は頭の大きさ、お腹の大きさ、太ももの長さから推定体重を計算しているんだ。
そこで今回、妊婦健診のエコー(超音波検査)で見ていること・分かることは何なのか、周産期専医兼超音波専門医であるとんたんが、ママさんの疑問や不安を解消すべく、妊婦健診のエコー(超音波検査)について詳しく解説します!
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目次
妊婦健診のエコー(超音波検査)でみていること

通常の妊婦健診では、胎児の病気を見つけることを目的としていませんが、妊娠中の定期健診は妊娠に関わる病的状態の早期発見のためにとても重要です。
妊婦健診のエコー(超音波検査)では、胎児の成長や異常、胎盤や羊水の状態、母体の状態などを確認します。
妊婦健診のエコー(超音波検査)の種類と検査時期
【エコー(超音波検査)の種類】
エコー(超音波検査)には「通常超音波検査」と「胎児超音波検査(胎児超音波スクリーニング)」があります。
一般超音波検査では胎児の異常を見つけることを目的とはしていませんが、何か異常が見つかった場合には精密超音波検査が薦められます
- 通常超音波検査:赤ちゃんの推定体重や羊水量、胎動などを確認する
- 胎児超音波検査(胎児超音波スクリーニング):赤ちゃんの先天的な形態異常などを確認する(後ほど解説しています)
【超音波検査の時期】
- 経腟法(経腟超音波):妊娠初期妊娠4~11週に、腟の中に棒状の超音波発信装置(経膣プローブ)を挿入して検査する
- 経腹法(経腹超音波):妊娠中期12週からはお腹の上から超音波で検査をおこなう
エコー(超音波検査)は妊婦さんに対する副作用が報告された例はなく、非常に安全な検査方法です。
エコー(超音波検査)では、超音波の反射を利用することで胎児の姿や形を画面上に投影します。
羊水や血液、膀胱内の尿などは黒く、頭蓋骨や背骨や肋骨などは白く、筋肉や脂肪や胎盤などは灰色に写ります。
BPD(児頭大横径)、FL(大腿骨長)、AC(腹部周囲長)などを計測して、EFW(胎児の推定体重)などを計算します。
BPD:biparietal diameter 大横径
APTD:antero-posterior trunk diameter 腹囲前後径
TTD:transverse trunk diameter 腹囲横径
FL:femur length 大腿骨長
AC:abdominal circumference 腹部周囲長
FOD:formtal occipital diameter 頭蓋前後径BPD:biparietal diameter
通常の妊婦健診で行っているエコー(超音波検査)は推定体重を測ることや、羊水量や胎動などを見ることを目的としています。
ママさんがご覧になる検査結果の写真は静止画ですが、超音波検査のモニターには、ずっとリアルタイムで断面図が映っていますので、胎児の心拍など動きのある情報もすべて確認できています。
胎盤の位置の確認や、子宮口の状態などの確認もこの時に行っているのよね。
胎児発育曲線

胎児発育曲線は、胎児の発育を評価するために作られた曲線のことです。
胎児推定体重が、その時の週数の平均値からどれだけのズレがあるのかを偏差値(SD)を用いて評価します。
一般的に、±1.5SD以内を正常範囲とし、-1.5SDを越えて小さい場合をFGRといいます。
とくに赤ちゃんの体重と羊水量についてですが、それぞれの項目で大きさの下に来るの○w✖️dは、○週✖️日の平均値に当たること(15w3dなら15週3日相当) 、その下にくるSDは標準偏差で、-1.5SDから+1.5SDが正常値であることなどを確認します。
よく先生が「週数相当」、というのはこの赤ちゃんの大きさごこの幅に収まっているということを指します。
エコー(超音波検査)では、きちんと成長が進んでいるかを見るだけでなく、胎児の大きさを測ることで妊娠週数を算出したり出産予定日の確定も行えます。
妊婦健診のエコー(超音波検査)でみていること

さらに踏み込んで、妊婦健診のエコー(超音波検査)でとんたんがどんな点に注意しながら確認しているのかお教えしちゃいます。
赤ちゃんのどんなことをチェックしてもらえているか分かるとママはより安心ね♪

赤ちゃんの発育・向き・形態異常がないか

●赤ちゃんの大きさ
赤ちゃんの計測の仕方は週数によって変わりますが、特に赤ちゃんは動き回っていることが多くて、頭からお尻までの頭殿長は8週〜11週頃のごく初期の頃だけ測れます。
この頃に妊娠週数の確認と予定日の修正をすることで後の発育が順調かどうか適切に見ることができます。
12週以降は頭の横幅(児頭大横径)を計測して、中期以降はお腹周り(腹囲)、太ももの骨の長さ(大腿骨長)から胎児の推定体重を計算します。
●赤ちゃんの向きを確認
逆子や横向きの場合は分娩方法が帝王切開になる施設が多く、30週以降に赤ちゃんの向きを確認していきます。
●形態異常がないか確認
妊娠20週頃にスクリーニング検査で臓器の形態を詳しく確認していきます。
生まれた後すぐに生命の危機となる疾患がないか、高次周産期センターでの分娩をする必要でないか、一般の超音波検査よりもさらに詳しくみていきます。
赤ちゃん以外のもの〜子宮の中 羊水量や頸管長
●羊水量や異常の確認
赤ちゃんはお腹の中で羊水を飲み込んで排泄をすることで全身臓器の発達と機能成熟を助けているため、羊水量が適量でないことで発育に影響が出ることがあります。
羊水の量は少な過ぎても多過ぎても赤ちゃんやママに何らかの疾患がある可能性が考えられます。
●子宮頸管長や異常の確認
子宮の入り口は出産近くまで硬く閉じているため、早い週数で短縮して柔らかくなってしまうと早産になるリスクが高くなってしまいます。
正常な妊婦の子宮頸管の長さは、妊娠初期から中期(妊娠18週~29週)で約40㎜、32週以降になると25mm~30mmに短縮しますが、およそ20週頃、経腟超音波にて子宮の入り口の長さ(子宮頸管長)を計測することで切迫早産のリスクを確認します。
赤ちゃん以外のもの〜子宮の外 胎盤や臍帯
●胎盤の位置や異常(前置胎盤)の確認
前置胎盤とは胎盤が子宮の入り口を覆う様な位置にあることで、経腟分娩ができないだけでなく、妊娠中に大量出血起こす危険があります。
入院管理や緊急帝王切開になることがありますので、妊娠24週から31週頃までに経腟超音波で確認し、総合病院や周産期センターでの管理が必要になります。
●臍帯の状態の確認
臍帯は普通は動脈が2本、静脈が1本の3本の血管が集まっているのですが、ごくまれに動脈が1本しかない、先天性疾患と関連する単一臍帯動脈がみられることがあます。
また、胎盤と臍帯の付着部位によって赤ちゃんの発育に影響が出たり、分娩時に心音が低下することもあるますのでそれらを確認します。
妊婦健診のスケジュールは?超音波検査はどのくらいの頻度で行う?


妊婦健診は、妊娠期間中に計14回受けるように推奨されていて、妊婦健診のスケジュールは、妊娠週数によって異なります。
- 妊娠初期(妊娠判定から妊娠11週頃まで)は1~2週間に1回
- 妊娠12週から妊娠23週までは4週間に1回
- 妊娠24週から妊娠35週までは2週間に1回
- 妊娠36週以降は毎週1回
- 予定日以降は1週間に2回
また産婦人科では妊婦健診のスケジュールを具体的に教えてもらえるので、指示にしたがって通院しましょう。
妊娠初期~23週は4週間に1回、妊娠24~35週は2週間に1回、妊娠36週~出産は1週間に1回が目安です。
妊婦健診の内容は病院や医院によって異なりますが、毎回超音波検査を行っているところが多いです。
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超音波スクリーニング検査

スクリーニング検査とは、症状が現れない段階で病気の可能性を調べる検査で、通常の超音波検査よりも、より詳しく胎児の状態を調べる検査です。
通常の超音波検査で何らかの異常が疑われた際に、より詳しく調べるために超音波スクリーニングを行う場合もあります。
ママとパパは「お腹の赤ちゃんに病気や障害があったらどうしよう」と不安に思うよね。
基本的にスクリーニングは、妊婦さんやご家族が希望する場合に受けるものです。
3~5%の割合で赤ちゃんはなにかしらの異常をもって生まれてくることがあるという統計があるため、スクリーニングのための超音波検査を受けていなくても通常の超音波検査で赤ちゃんの異常が見つかる場合もあります。
超音波検査のなかでも特殊な技術が必要になる検査のため、どの病院でもできるというわけではなく、実施できる施設も限られています。
通常の妊婦健診では、超音波検査の主に2Dの機能によって、赤ちゃんの発育や羊水量を計測していますが、スクリーニング検査においては赤ちゃんの異常がないかを主に調べます。
初期スクリーニングは特に異常がないと、あえてNT肥厚などの説明をしない医師もいます。
妊娠初期の赤ちゃんの首の後ろにみられる液体の溜まりのことをNTといい、実はたいていの赤ちゃんに認められます。
NTが肥厚すればするほど染色体異常のリスクが高くなるとされてはいますが、単に浮腫んでいるだけで構造学的異常が全くないこともあり、妊娠15週でもう一度確認してみるとと、浮腫みは消えているということも多いです。
確かに不必要に不安をあおられたら、ママさんは必要以上に心配してしまって、メンタルや体に良くないわ~
スクリーニング検査の検査内容
スクリーニング検査は担当する医師や超音波検査士の技量と判断力が必要とされる精密な検査で、通常の妊婦健診には含まれない胎児の心臓、肺、頭部、生殖器、消化器、骨格、尿路などの細かい部位まで異常を調べます
お腹の中の赤ちゃんの形態的な異常をみるという点では一般的な超音波検査と同じですが、時期によって重点的に見るポイントは変わってきます。
妊娠初期:妊娠11週0日~13週6日頃・・・NT肥厚や尾骨低形成がないか確認し、染色体の病気(ダウン症など)のリスクがないかを確認します。
妊娠中期:19週~24週頃・・・・・・・・頭や心臓などの内部臓器に異常がないかを確認します。
妊娠後期:27週~30週頃・・・・・・・・特に先天的な病気が起きやすい心臓の異常や形態異常がないかを確認します。
赤ちゃんの染色体の病気(特にダウン症に代表されるトリソミーなど)や体の病気をある程度見つけることができると言われていて、胎児の異常が見つかった場合は、高次医療機関での精査や分娩の計画を立てます。
胎児の向きや体勢によって診断できない場合や、超音波検査に限界がある場合があります。胎児の位置や母胎の肥満、羊水量などもスクリーニング検査の結果に影響するため、結果に問題がなかったからといって先天性胎児異常がないということを100%保証することはできません。
一般的に重い胎児先天性異常のうちの70~80%は、スクリーニングで見つけることができるとされているため、スクリーニングの結果が正常であれば、先天性胎児異常の可能性は低いと考えてよいでしょう。
知っておいて欲しいスクリーニング検査
スクリーニング検査をしても100%必ず発見できるとは限らない
スクリーニングの結果が異常なしであっても、出生後に、先天性胎児異常であるとわかることもある
超音波検査で異常が疑われて、出産後正常で取り越し苦労をしてしまうこともある
染色体異常が発見されれば羊水穿刺などの検査を選択することできますが、この検査には胎児の流産につながるリスクもあるということも知っておいてください。
その時の検査結果次第では、パパ、ママにとって、難しい選択が迫られることもあるということね。
検査結果次第で、赤ちゃんに何らかの異常が疑われた場合、妊婦さんやご家族はとても不安になりますよね。
妊娠管理や分娩時の対応、産まれた後の赤ちゃんの管理、予今後想される治療経過などについて、十分に相談できる施設で検査を受けることが望ましいです。
まとめ

妊婦健診や出産についてよく質問いただくことも含め、解説しました。
エコー(超音波検査)は、赤ちゃんはもちろん、母体の病的状態の早期発見のためにも大変重要な検査です。
妊娠中は喜びや期待でいっぱいですが、赤ちゃんに何か異常がないか不安が尽きないことでしょう。
ご不安なことはお気軽に相談いただき、少しでも健やかで楽しいマタニティライフのお役に立てれば幸いです。
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