こんにちわ!産婦人科医のとんたんです。
2026年最初の記事は9割の妊娠初期〜中期の妊婦が悩む症状と受診目安についてお話します。
遠慮がちな妊婦さんほど、後で「もっと早く受診しにきてもらえたら良かったのに」て感じるわ。
不安や心配の感じ方は人それぞれだからね。最悪の事態のギリギリ手前まで我慢しないように、受診の目安を知ってほしいね。
妊娠がわかってから、これまで気にも留めなかった体の変化に敏感になり、スマホで検索を繰り返しては不安になっていませんか。
- 少しお腹が痛いだけで心配になる
- 下着に血がついた気がして何度も確認してしまう
- つわりが軽い日は、逆に不安になる
こうした気持ちは、決して特別なものではありません。
産婦人科の外来では、
「こんなことで受診していいのか迷いました」
という声をとてもよく聞きます。
この記事では、妊娠初期〜中期に特に多い「腹痛・出血・つわり」について、産婦人科医の医学的知見をもとに、心配しすぎなくてよいケース/受診したほうがよい目安をできるだけわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 妊娠初期〜中期に起こりやすい症状の考え方
- 自宅で様子を見てよいケース
- 産婦人科に相談したほうがよいサイン
- 不安なときの判断基準
目次
妊娠初期〜中期は、不安を感じやすい時期です

妊娠初期(〜15週頃)から中期(16〜27週頃)は、心と体の変化が一気に押し寄せる時期です。
- ホルモンバランスの急激な変化
- 子宮が急に大きくなる違和感
- まだ胎動が安定しない不確かさ
これらが重なり、
「本当に順調なのかな?」
「赤ちゃんはちゃんと育っているのかな?」
と感じるのは、とても自然な反応です。
産婦人科外来では、医学的には問題がないと分かっていても、不安が先に立ってしまうという方をたくさん診てきました。
特に初めての妊娠では、
- 何が「よくある変化」で
- 何が「注意すべきサイン」なのか
その線引きが分からず、ネット検索を繰り返してしまう方も少なくありません。
だからこそ、「判断の目安をあらかじめ知っておくこと」が、妊娠期間を安心して過ごすためにとても大切です。
妊娠初期〜中期の腹痛は大丈夫?|生理的変化と病的サイン

| 症状 | 様子を見てOK(次回健診で相談) | 早めに受診・相談が必要 |
| 腹痛 | チクチク、ズーンとするが休むと治まる | 激痛、片側だけの痛み、出血を伴う |
| 出血 | 茶色〜ピンク色、おりものに混じる程度 | 鮮血(真っ赤)、生理2日目より多い、塊が出る |
| つわり | 吐き気はあるが、水分・食事は少し摂れる | 水も飲めない、尿が出ない、体重が5%以上減った |
| 張り | 横になると落ち着く、不規則 | カチカチに張る、痛みを伴う、規則的に張る |
結論から言うと、軽い腹痛は珍しくありません 妊娠初期の腹痛の多くは「正常範囲」
妊娠中に感じる腹痛の多くは、子宮が大きくなる過程で起こる生理的なものです。
(〜15週頃)に起こる腹痛の多くは、以下の生理的変化が原因です。
- 子宮が大きくなることによる靭帯の伸展「円靭帯痛(えんじんたいつう)」
- 黄体ホルモン(プロゲステロン)による腸の動き低下
- 子宮の血流が増える
- 便秘やガスがたまりやすくなる
これらが原因で、チクチク・ズーンとした痛みを感じることがあります。
これらは、安静にすると軽くなる/長時間続かないという特徴があることが多く、必ずしも異常を示すものではありません。
ただし、次のような腹痛は注意が必要です
一方で、診察の現場で「これは要注意」と判断する腹痛には、いくつか共通点があります。
- 片側だけに強い痛みが出る
- 時間とともに痛みが強くなる
- 我慢できないほどの痛み
- 発熱・吐き気・冷や汗を伴う
これらは子宮外妊娠・卵巣出血・感染症などの可能性があり、自己判断は禁物です。
特に妊娠初期では、子宮外妊娠 など、早期発見が重要な疾患が隠れていることもあります。
「少し休めば治るかも」と様子を見てしまいがちですが、痛みの質がいつもと違うと感じたら、早めに産婦人科へ相談することが大切です。
妊娠中の出血は大丈夫?|色・量・時期でリスクは変わる

出血の量が多いと心配になるわよね。
妊娠中の出血は、量・色・時期によって意味合いが大きく変わるので、知っておいて欲しいんだ。
少量の出血=すべて異常ではありません
- 茶色・ピンク: 過去の出血が時間が経って出てきたもの(多くは心配なし)。
- 鮮血(真っ赤): 「今まさに」出血しているサイン。
- 塊(レバー状): 子宮内で大きな出血が起きている可能性。
妊娠初期には、
- 子宮頸管がホルモンの影響で出血しやすくなる
- 内診や性交後に刺激で出血する
- 着床に伴う軽い出血
など、必ずしも異常ではない出血も多く見られます。
実際の診療でも、
「茶色い出血が1回だけあった」
「トイレットペーパーに少し付いた」
という相談は非常に多いです。
このような場合、腹痛がなく特に
👉 茶色〜薄いピンク色
👉 下着に少量付く程度
で、腹痛がなければ経過観察となることもあります。
すぐ受診したほうがよい出血の目安
一方で、以下は緊急性が高い可能性があります。
- 生理2日目以上の量が続く
- 鮮血が何度も出る
- 強い腹痛を伴う
- 血の塊が混じる
といった場合には、
切迫流産や流産だけでなく、妊娠週数によっては 前置胎盤や胎盤関連のトラブルが関与している可能性もあります。
これらは、「放置してよくなるものではない」ことが多いため、自己判断せず、医療機関での評価が必要です。
つわりが軽い・急に楽になったのは問題?|「正常」と「治療対象」の境界線

つわりは、妊娠ホルモン(hCGなど)の影響が関与していると考えられていますが、その出方には本当に大きな個人差があります。
つわりは妊娠初期に約8割の方が経験しますし、病気ではないですが、我慢不要です。
★軽い症状
- ほとんどつわりを感じない方
- 妊娠初期だけ強い方
- 中期まで続く方
どれも珍しいことではありません。
「つわりが軽い=赤ちゃんが心配」
と感じる方も多いですが、つわりの強さと赤ちゃんの発育は必ずしも比例しません。
これは、診察の現場でもよくお伝えしている点です。
ただし、急激な体調変化や他の症状を伴う場合は、念のため医療機関に相談しましょう。
★★よくある主な症状
- 吐き気
- 食欲不振
- においへの過敏
多くは妊娠12〜16週頃に自然軽快します。
★★★妊娠悪阻(にんしんおそ)との違い
妊娠悪阻は、
- 脱水
- 電解質異常
- 体重減少
を伴う状態で、医療的な介入が必要な「治療対象」です。
以下の場合、治療介入が必要な状態です。
- 水分が取れない
- 体重が急激に減少
- 尿量が極端に少ない
- 日常生活が困難
点滴治療や内服によって、母体の状態が改善することで、結果的に妊娠経過も安定しやすくなります。
「つわりだから仕方ない」と我慢しないでください。
「病院に行くほど?」と迷ったときの判断基準 妊娠週数別|症状と受診目安まとめ

産婦人科では、「相談しすぎ」ということはほとんどありません。
産婦人科外来では実際に多くの妊婦さんが色々な心配を相談してくれます。
- いつもと違うと感じた
- 不安で夜眠れない
- 何度も検索してしまう
この時点で、受診や相談を考えて大丈夫です。
実際に診察を受けて「問題ありません」と言われることで、心から安心できる方はとても多いです。
妊娠初期(〜15週)
- 軽い腹痛・少量出血 → 経過観察可
- 強い痛み・鮮血 → 早期受診
妊娠中期(16〜27週)
- 腹部の張りが頻回
- 出血・痛みがある場合は即相談
自宅でできるセルフチェック(医師推奨)

以下をチェックしてください。
- 痛みは強くなっていないか
- 出血量は増えていないか
- 発熱・悪寒はないか
- 胎動(中期以降)は感じるか
「いつもと違う」と感じたら、迷わず医療機関に相談することが重要です。
ネット情報との上手な付き合い方

妊娠中は、どうしても検索する回数が増えます。
しかし、ネット上の体験談は、
- その人の妊娠経過の一部
- その人の体質や背景
に基づいたもので、必ずしも自分に当てはまるとは限りません。
こうした情報に触れすぎると、必要以上に不安が強くなってしまいます。
医師や医療機関が関与している情報を中心に、参考程度に見ることが大切です。
よくある質問(妊娠初期〜中期の不安)

Q1. 妊娠初期の腹痛はいつまで続くことがありますか?
A.妊娠初期の腹痛は、子宮が大きくなる過程やホルモン変化によって起こることが多く、妊娠12〜15週頃までに自然と落ち着くケースが一般的です。
ただし、痛みが強い・持続する・出血を伴う場合は、念のため産婦人科に相談してください。
Q2. 少量の出血があっても様子を見て大丈夫ですか?
A.少量で一時的な出血であれば、妊娠初期には珍しくありません。
一方で、生理のような量が続く、腹痛を伴う、鮮血が出る場合は、早めの受診をおすすめします。
「迷ったら相談」が基本です。
Q3. つわりが軽い(または急に楽になった)のは問題ですか?
A.つわりの強さには個人差があり、軽いこと自体が異常というわけではありません。
急激な変化があり、他の症状(出血・腹痛など)を伴う場合のみ、念のため医療機関に相談しましょう。
Q4. 妊娠中期に入っても不安が消えないのはおかしいですか?
A.妊娠中期は「安定期」と言われますが、不安が完全になくなるわけではありません。
胎動が安定しない時期や体調変化により、不安を感じる方は多くいます。
気持ちの変化も妊娠の一部と考えて大丈夫です。
Q5. 病院に行くほどかどうか判断できないときは?
A.「普段と違う」「不安で眠れない」と感じた時点で、相談する価値は十分あります。
受診することで何もなければ、それ自体が安心につながります。
Q6. ネットには「出血があっても無事だった」という声が多くて迷います。
A. 体験談はあくまで「その人の結果」です。出血の原因が「子宮の出口のただれ」なのか「胎盤の剥がれ」なのかは診察しないと分かりません。ぜひ医師に相談してください。
まとめ

妊娠中に不安を感じることは、赤ちゃんを大切に思っている証拠でもあります。
「こんなことで相談していいのかな」と思わず、必要なときには、遠慮なく頼ってください。
大切なのは、
- 一人で抱え込まないこと
- 正しい情報に触れること
- 必要なときに相談すること
です。
正しい情報と、相談できる場所があることが、安心して妊娠期間を過ごすための支えになります。
ひとりで悩まず、気軽に相談してください
妊娠中の不安は、我慢するより「確認して安心する」ことが大切です。
- 受診すべきか迷っている
- 症状について相談したい
- 定期健診・初診予約を取りたい
という方は、以下をご利用ください。
※本記事は、専門医が医学的根拠および臨床経験に基づいて情報提供を目的として作成しています。
ただし、個々の症状には個人差があるため、実際の診断・治療について最終的な判断は必ず医師の診察を受けてください。
▶この記事を書いた人 産婦人科医 とんたん
産婦人科専門医、周産期新生児専門医。これまで多数の妊娠・出産・妊娠初期トラブルの診療に携わる。
「不安を減らす医療情報」をテーマに、妊婦さん向けの発信を行っている。
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参考・引用公式サイト
公益社団法人 日本産科婦人科学会 https://www.jsog.or.jp/activity/publication/pdf/sanka_gl2026_pc1.pdf


