こんにちわ!産婦人科医のとんたんです。
妊娠中のママさんから以下のような質問をいただくことがあります。
「少量のアルコールならOK?」
「電子たばこならOK?」
「ニコチンパッチやニコチンガムは使ってもいい?」
「コーヒーってダメ?」
今の時代、男女関係なくお酒は飲むけど、もしかしたら社会進出とともに女性の方が多く飲んでるかもね。
最近はタバコも社会全体的にやめる風潮にあるけど、まだ現実に販売しているし、たとえ女性でも喫煙所で吸っている人はいるね。コーヒーは今やお茶より飲まれているし。
今まで大好きだったお酒、タバコそしてコーヒーなど、妊娠が分かったら全部さっぱりやめないといけないのでしょうか?
やめないといけないとすればどうすればよいのでしょうか?
今回は妊娠中の嗜好品、飲酒・タバコ・カフェインと赤ちゃんへの影響や、やめられない時の対処法について解説します。
目次
嗜好品(しこうひん)の依存度の高さに気をつけよう


嗜好品(しこうひん)とは、栄養摂取を目的とせず、味や香り、刺激を楽しむ飲食物や物品を指します。
コーヒー、お茶、酒、たばこ、カフェイン、お菓子、清涼飲料(ジュース)…。みんなが好きなものばっかりじゃん…。
栄養分として直接必要ではないから、嗜好品は摂取しなくていいなら、接種しないほうがいいものってことだよ。
嗜好品の特性の特性について知っておきましょう。
- 嗜好品は、心理的あるいは薬理学的な機序により習慣性を持ち、物質嗜癖(ぶっしつしへき / substance addiction)の対象となりうる。
- 嗜好品は、嗜好(=たしなむこと/このみ)で適切に取り入れることで心理的なポジティブ効果やリラックス効果などが期待できる。
- 嗜好品は、身体にとって決して良い影響をもたらすとは言えないものも多く、結果的に身体の不調をもたらす要因となっている場合が多い。
- 摂取量や回数が徐々増え、摂取し続けなければ気が済まなくなる。
- 身体に耐性ができ、物質を摂取したい強い欲求に自分でもコントロールできなくなる。
- 物質を摂取することを優先してしまう、または物質の摂取をやめるかへらそうとすると、離脱症状があらわれる。

ヘロインとかコカインとか薬物と比較されちゃってるよ~
親しみ慣れているからこそ、その依存症に気が付かず、だんだんとやめられなくなるんだよ。

嗜好品(しこうひん)の胎児に与える悪影響とは

嗜好品(しこうひん)とは刺激や味や香りを楽しむもので、栄養の摂取などはあまり関係なく精神的に満足するためのものですので、極端な話、摂取しなくても全然構わないのです。
それでもとりたくなる嗜好品の、妊婦の体に対する影響についてよく知っておきましょう。
カフェインの悪影響

妊娠中にカフェインを過剰摂取すると、母体や胎児に悪影響を与える可能性があります。
カフェインはチョコレートといった意外なものにも含まれていますので、一日の摂取量が過剰にならないように注意する必要があります。
カフェインの母体への影響
- 貧血の悪化
- 不眠
- 高血圧や頭痛
- 胃痛や吐き気、下痢
カフェインの胎児への影響
- 低酸素状態や低体重のリスク増加
- 流産や死産のリスク増加
- 発育不全のリスク増加
- 呼吸数や心拍数の増加
- 起きている時間の増加
日本助産学会が推奨するカフェイン摂取量の目安
日本助産学会のガイドラインでは控えることが勧められるとしされています。
日本の 30~39 歳の女性の平均カフェイン摂取量は 213 mg/日である ことも示されています。
厚生労働省が推奨するカフェイン摂取量の目安
厚労省では、日本国内のデータを明示していません。世界保健機関(WHO)、英国食品基準庁(FSA)、カナダ保健省 (HC)のデータを参照していて200から300mgまでを目安としています。
農林水産省が推奨するカフェイン摂取量の目安
他国のデータを引用して、200から300mgまでを目安としています。
カフェインの摂取量は、1日200mgまでが目安です。コーヒーや紅茶の場合1~2杯までならOKです。
カフェインを過剰摂取すると、中枢神経に作用して、めまい、、興奮、不安、震え、不眠症などの症状が出やすくなります。
また、カフェインには利尿作用があるため、水分が排出されやすくなりますので水分補給が必要です。
授乳中も妊娠中と同じく、コーヒー1日2,3杯程度であれば赤ちゃんに影響を与えないとされていますが、母乳に含まれるカフェインは、赤ちゃんの体内に50〜100時間程度も留まるといわれています。
対策

妊娠中のコーヒーは1日200mg以下の摂取であればいいと思っていいわね。
カフェインの摂取量はこれらの数値を参考にしましょう。
食品・飲み物 | カフェイン量(mg) |
---|---|
コーヒー(1杯200ml) | 80~100 |
紅茶(1杯150ml) | 30~50 |
緑茶(1杯150ml) | 20~30 |
ウーロン茶(1杯150ml) | 20~30 |
コーラ(1本350ml) | 30~40 |
チョコレート(100g) | 30~40 |
エナジードリンク(1本500ml) | 80~150 |
コーヒーがどうしてもやめられない人は、「デカフェ」「カフェインレス(カフェインゼロとは限らない)」といった、カフェイン量の少ないものもありますので、活用してみてください。
デカフェはカフェインを抽出して減らしたコーヒー、カフェインレスはカフェインを含まないかあっても極少量なコーヒーです。ノンカフェインは元々カフェインを含まない素材から作られますので、「ノンカフェ」はコーヒーに使う言葉ではなく、ハーブティーやルイボスティーなどで使われます。
アルコールの悪影響

妊娠中にアルコールを摂取すると、胎児や母乳に悪影響を及ぼす可能性があります。
アルコールの胎児への影響
- 胎児性アルコール症候群(FAS)と呼ばれる発育障害や知能障害、精神発達の遅れ、顔面の形成不全などの症状が現れる危険性がある。
- 胎児性アルコール・スペクトラム障害(FASD)と呼ばれる発達障害や知能障害などのの障害を引き起こすおそれがある。
- 早産や流産、分娩異常の原因になる可能性がある。
- 低体重で生まれることが多く、身長や頭囲が小さくなる傾向にある。
- 臓器や筋肉、骨の発達も遅れ、運動能力や健康にも影響を及ぼす。
アルコールの母乳への影響
- 血液中のアルコール濃度と母乳中の濃度はほぼ同じといわれている。
- 母乳の分泌を低下させる働きもある。
対策
- 妊娠中はアルコールを摂取しないようにしましょう。
- 少量の飲酒でも、妊娠のどの時期でも影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。
- 妊娠に気づかず妊娠初期に少量を飲んだくらいであれば大きな心配はないといわれていますが、気になることはかかりつけ医に相談しましょう。
- パパさんも一緒に禁酒もしくはなるべくママさんの前では飲まないように協力しましょう。
- お酒について自分でコントロールできない場合はアルコール依存症の恐れがあるため、かかりつけ医に相談しましょう。
妊娠中の飲酒は、たとえ少量でも避けてください。特に、器官が形成される妊娠初期に飲酒すると、奇形が生じやすくなります。
代替としてのノンアルコールビールって1%未満の微量なアルコールが含まれていても「ノンアルコール」とうたっても法律的には問題ないのよね~。
「ノンアルコール」の定義は、アルコール含有量1%未満です。ノンアルコール飲料でも微量なアルコールが含まれているものと含まれていないもの(0.00%)があり、表示を確認することが大切です。
タバコの悪影響

喫煙が女性の妊娠・出産に与える影響としては、早産、低出生体重、胎児発育遅延などが挙げられます。
また、喫煙は妊娠能力を低下させ、子宮外妊娠や胎盤早期剥離を引き起こす可能性も指摘されています。
さらに、妊婦自身が喫煙していなくても、周囲の人が喫煙し、妊婦がタバコの煙にさらされると、妊婦や胎児に健康上のリスクをもたらす可能性があります。
ママさんだけではなく、家族や周りの人も禁煙することが大切です。
タバコの胎児への影響
- 低体重児(2,500g未満)の出産のリスクが高くなる
- 早産のリスクが高くなる
- 妊娠中の異常(破水、胎盤早期剥離、前置胎盤など)のリスクが高くなる
- 乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが高くなる
- 自然流産のリスクが高くなる
- 子宮外妊娠のリスクが高くなる
- 児の口蓋裂(先天異常の1つ)との関係も示唆されている
- 口唇裂や先天性心疾患といった特定の胎児奇形へのリスクが高くなる
- ダウン症(染色体異常)などの遺伝子疾患の発生のリスクが高くなる
タバコの3大有害物質

- ニコチン・・・強い依存性があり、タバコをやめにくい主な原因です。血管を収縮させ、心臓に負担をかけてしまいます。
- 一酸化炭素・・・酸素の運搬が阻害されてしまうため、酸素不足の状態になってしまいます。
- タール・・・いわゆる「ヤニ」のことで、タールにはニコチンのほか有害物質や発がん性物質などがが数多く含まれています。
タバコに含まれるニコチンのメカニズム

- タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、子宮や胎盤への血液量が減少する
- 胎盤の血管を収縮させるため、胎児への血液の流れが悪くなる
- 胎児に十分な酸素や栄養が行き渡らず、低体重児や発育不全につながる
- 胎児の口唇裂や口蓋裂、先天性心疾患などの先天異常を引き起こす可能性がある
- 胎児の神経発達に影響を与える可能性がある
- タバコに含まれる一酸化炭素はヘモグロビンと結合しやすいため、酸素の運搬能力が低下する
- 胎児が低酸素状態になったり、胎盤の機能が低下する
ママさんはできれば結婚と同時くらいにタバコをやめられるといいわね。
数週間以上にわたってタバコを使用していた人が、急にタバコをやめたり、減らしたりしたりなどの「タバコ離脱」をすると、
怒りっぽくなったり、不安になったり、物事に集中できなくなったりして、 抑うつ気分や不眠に陥る人もいます。
「ニコチン依存症」とは、そういった血中のニコチン濃度がある一定以下になると不快感を覚える症状で、自分の意志に反して喫煙を繰り返してしまう疾患なのです。
受動喫煙の影響

たばこの煙には、喫煙者が吸う「主流煙」、たばこから立ちのぼる「副流煙」があります。
じつは妊婦さんはこの受動喫煙を特に気をつけて欲しいです。


ママさんが自分でたばこを吸わなくても、たばこを吸っている人の煙を吸わされてしまうことを「受動喫煙」といいます。
副流煙には、主流煙よりもたくさんの有害物質が含まれています
妊娠中に受動喫煙すると、胎児や赤ちゃんにさまざまな悪影響を与える可能性があります。

☑ 流産や早産の危険性が高くなる
☑ 低出生体重児となることが報告されている
☑ 喘息や肺炎、乳幼児突然死症候群(SIDS)などの病気にかかりやすくなり、成長発達の遅れのリスクも高まる
まずいよこれ…。

妻が妊娠したら、夫も禁煙することが望ましいです。
屋外や別室で喫煙したとしても、喫煙者の息にはタバコの有害物質が含まれているため、周囲の人はその目に見えないタバコの害にさらされることになります。
受動喫煙の影響を避けるためには、周囲の協力と理解が不可欠です。
三次喫煙(サードハンド・スモーク)を知っていますか?

三次喫煙という言葉を聞いたことはありますでしょうか?
タバコを消した後に残留する化学物質を吸い込んでしまうことです。
喫煙者の髪や服、ソファ、カーペット、カーテンなどの表面にタバコ由来のニコチンや化学物質は付着します。
部屋で過ごす時間が多い妊婦さん、そして出産後でも部屋で過ごすことの多い乳幼児は三次喫煙による影響を受けないように注意すべきです。
【対策】
- 妊娠したらタバコをやめましょう
- 妊娠初期に吸っていても、妊娠3~4カ月までに禁煙すると、低体重児のリスクがたばこを吸っていない妊婦のレベルに近づきます
- 授乳中の母親がたばこの煙を吸うと、赤ちゃんは母乳に移行したニコチンを摂取することになりますのでやめましょう。
- 受動喫煙予防にパパさんは禁煙するか、別の場所で吸いましょう。

タバコは出産後、乳児や幼児にも悪影響を与えますので、なるべくやめたほうがいいです。
タバコと酒、ちょっとだけなら大丈夫?

妊娠前に日常的にお酒を吸っていた方、お酒を飲んでいた方にとっては、妊娠中の我慢はつらいですよね。
少しくらいなら大丈夫なのではと考える人もいるかもしれませんが、ニコチンやアルコールによる妊娠への影響は個人差があり、少量でも赤ちゃんへの影響がある可能性が十分にあります。
妊娠前はお酒やタバコでストレスを発散していたという方も、別のストレス解消方法を見つけましょう。

エックスのポストより
妊娠中とか授乳中に、一緒にお酒とかたばこやめてくれる旦那さんいると思うけど、ど〜〜しても我慢できなくなったら、最悪1本だけとか1杯だけとか、こそっとしようと思ったらできなくはないじゃん! でも女性は絶対に我慢するしかないじゃん、そこまで考えてくれる男性って素敵だよね!という話(急に)
女は妊娠初期から産まれるまで、いや、産まれてからも大変な思いするんだからたばこをやめるストレスぐらい感じてくれよ。こっちは依存してた大好きな甘いものやパンを完全にやめたんだよ!! コーヒーだって飲めないんだよ。ノンカフェインは飲むけど。
妊娠気が付かず3ヶ月まで酒や薬飲んでサウナマラソン等々好き放題してた 以降は禁酒とカフェイン制限、水銀制限、激しい運動禁止だけは絶対守ってるけどそれ以上の制限は特にしてない
こんな自由妊婦いるんだろうか
こんなママ垢で言うのかって感じだけど 妊娠分かるまではヤニカスの酒カスだったんだけどさ
よく未だに煙草も酒も口にしてないなと思う
おおう・・・。いろいろ苦労しているなぁ・・・。
まずは自分の力だけでやめられるかやってみることだね。そしてダメだと感じたらすぐに医師に相談することが大切!
ニコチンパッチやニコチンガム・新型タバコならOK?

新型タバコについて
最近、電子タバコや加熱式タバコなど、新しいタイプのタバコを吸う人が増えていますが、従来のタバコと同様に有害物質が含まれているものが多くありますし、中でも微量でもニコチンフリーを謳っているものもあり、妊娠中に吸っても安全とは言い切れません。
新しいタイプのタバコは最近になって売られ始めたばかりですので不明な点も多く、妊婦や赤ちゃんに影響がある恐れもあります。
妊娠中は新しいタイプのタバコも含め、禁煙することをお勧めします。
加熱式タバコならOK?

電子タバコ機器はタバコの葉を加熱して蒸気を発生させ、その蒸気を吸引することでニコチンを吸入するタバコ製品です。
タバコの葉を使用しているため、タバコ事業法で定める「タバコ製品」に該当します。
加熱式タバコ製品は紙巻きタバコに比べてニコチン以外の有害物質が若干少ないと報告されていますが、長期使用による健康影響は明らかにされておらず、悪影響が出る可能性は否定できないと考えられています。
電子タバコならOK?

電子タバコはタバコの葉を使わず、機器内または専用カートリッジ内の液体を電子的に加熱し、発生したエアロゾル(霧状の粒子)を吸入します。
電子タバコはタバコの葉を使っていないため「タバコ類似製品」とみなされ、規制の対象にはなりませんが、電子タバコの中には発がん性物質を放出するものもあると報告されており、ニコチンの有無にかかわらず健康への影響が懸念されると考えられています。
また、電子タバコは加熱式タバコとの区別が難しく誤解を招く恐れがあるため、やはり使用は避けることをお勧めします。
妊娠中はニコチンパッチやニコチンガムは使えません


禁煙方法としてよく知られているのは、ニコチンパッチやニコチンガムの使用ですよね。
これらは、少量のニコチンを体内に取り入れることで、ニコチン離脱によるイライラや欲求を抑え、禁煙を手助けすることを目的としています。
ニコチンを体内に取り入れるため、胎児に対する安全性が確認されておらず、妊娠中の使用は認められていません。
その他の禁煙方法としては経口薬がありますが、これは重度の喫煙依存症の場合、または妊娠中の薬の服用によるメリットがリスクを上回ると医師が判断した場合にのみ使用できます。
タバコの禁断症状(離脱症状)の対処法

喫煙したい気分の場合はタバコ以外の方法を検討してください。
離脱症状が起きた時に代わりになる代替物を用意し、代替行動を知っておくと良いですよ。
離脱症状の対処法
- 冷水や氷を口に含む
- 熱いお茶を飲む
- ガムや茎わかめ、干し昆布を噛む
- 体操やストレッチをする
タバコの代わりになる行趣味に没頭する
- 料理
- 手芸
- ウォーキング
- 筋トレ
- ガーデニング
- 映画鑑賞
- カメラ など
妊娠するとういう時よりも、もっともっと前からタバコは絶った方が本当に無難ね。
喫煙道具やを処分して、買い置きをやめて、とにかくタバコを吸えない環境にすることが大切だね。
まとめ

人は嗜好品を栄養として摂取する目的でとっているわけではなく、楽しみとして生活に取り入れています。
酒・たばこ・コーヒー・茶に含まれる、アルコール、ニコチン、カフェインといった生理活性物質(生物の機能を変化させる化学物質)によって快楽や幸福感、安心感など、幸せな感覚になりたい欲求から人は手を伸ばします。
嗜好品の摂取は摂取する時の状況や場面によって快い体験をもたらしますが、妊婦さんにはあまりにリスクが大きく、口にしないことがベストです。
妊婦さんはコーヒは1日1杯、酒とタバコはダメです。
酒とタバコは妊娠に気が付かないで摂取してしまうという恐れもあるため、これから妊娠予定という頃からやめておくのが無難と言えます。
また、母乳への影響も考慮して、離乳するまで控えましょう。
それにはパパさんの協力が大変有効ですから二人三脚で嗜好品対策をしてくださいね。