こんにちわ!産婦人科医のとんたんです。
「思い込み妊娠」とか「想像妊娠」って聞いたことはありますか?
「思い込み妊娠」や「想像妊娠」とは、実際には妊娠していないのに、妊娠していると錯覚してしまう状態のことです。
これは、精神的な要因やホルモンバランスの変化などが影響して、女性は妊娠初期の症状と同様のものを感じる場合がありますが、妊娠検査薬で陰性となるため、実際には妊娠していません。
待望の赤ちゃんかと思いきや、間違えて思い込み妊娠だとがっかりしちゃうわね…。
そうなんだよ。思い込み妊娠(想像妊娠)と生理前の症状、そして妊娠初期症状は、症状が似ているから区別が難しい場合があるんだ。
思い込み妊娠、想像妊娠は現実にある現象で、医学的には心因性妊娠、偽妊娠(Pseudocyesis)と呼ばれます。
これは、実際には妊娠していないにもかかわらず、妊娠しているかのような症状が現れて錯覚する状態です。
そこで今回、妊娠したのではとぬか喜びにならないように、妊娠初期症状について詳しく解説します。
目次
思い込み妊娠(想像妊娠)の原因

思い込み妊娠(想像妊娠)は、妊娠を強く望んでいる場合や、逆に妊娠を恐れている場合など、妊娠への不安、ストレスなどの強い心理的要因が影響すると考えられています。
私たちのホルモンバランスや自律神経は、脳でコントロールされています。
それらの心理的要因は、自律神経やホルモンバランスを乱し、妊娠初期のような症状を引き起こす可能性があります。
妊娠を強く望んでいる
妊娠を強く望むと、精神的なストレスや不安が大きくなり、ホルモンバランスが乱れて、排卵が遅れたり、生理が遅れたりすることがあります。
また、妊娠初期症状と似たような症状(吐き気、食欲不振、眠気など)が現れることもあります。
妊娠を望んでいない
妊娠への不安や恐怖から、妊娠を望んでいない場合でも、同様の症状が現れることがあります。
避妊の失敗や、パートナーとの別れなど妊娠に対する不安が心理的なストレスとなり、偽妊娠を引き起こす可能性があります。
ストレス
偽妊娠は、心身症の一種と考えられており、妊娠に対する強い思い込みや不安はストレスとなり、ホルモンバランスや自律神経を乱し、妊娠初期と似た症状を体に現れさせる場合があります。
ホルモンバランスの変化
強い精神的なストレスがホルモンバランスを乱し、吐き気、食欲不振、眠気など妊娠初期症状と似たような症状が現れることがあります。
自律神経の乱れ
強い感情が自律神経を乱すことで、つわりのような吐き気や胸の張り、生理の遅れなどの症状が出ることがあります。
生理周期による症状と誤解
生理周期による体調の変化(排卵出血、生理前症状など)を、妊娠初期症状と誤解することもあります。

妊娠を強く望むと、排卵の遅れや生理の遅れといった症状が現れることがあり、それを妊娠初期症状(つわりなど)を思い込み、その精神的なストレスが、さらにホルモンバランスや自律神経を乱す悪循環を引き起こすこともあります。
妊娠初期の妊娠1~4ヶ月は、妊娠0週~妊娠15週です。
特に、妊娠0週~妊娠3週頃までを「妊娠超初期」と呼ぶことがあります。
思い込み妊娠(想像妊娠)の症状

思い込み妊娠(想像妊娠)の症状
妊娠初期と同様の生理前症状(PMS)や風邪の初期症状が現れることがあります。
生理前症状(PMS)の症状
月経が始まる前にお腹の痛みや胸の張り、腹の膨らみなどが現れる状態です。
生理の遅れ、眠気、吐き気、食欲の変化なども挙げられます。
風邪の初期症状
倦怠感、微熱、頭痛などが現れる状態です。


- 生理が来ない
- 少量の出血
- 吐き気、食欲がない、頭痛
- 体温が高い
- 体がだるい
- お腹が張る、胸が張る、母乳が出る
妊娠初期の症状
生理前症状(PMS)の症状と似てるよね~
- 生理の遅れ:妊娠している場合は、生理が遅れます。
- 基礎体温:妊娠している場合は、生理予定日を過ぎても基礎体温が高温のままです。
- 着床出血:妊娠している場合は、受精卵が子宮内膜に着床する際に、少量の出血(着床出血)が見られることがあります。
- 生理の遅れ:生理が予定日よりも遅れた場合、妊娠の可能性を疑い、妊娠検査薬などで確認しましょう。
- 吐き気(つわり):吐き気や胃のむかつき、嘔吐などを感じる場合があります。つわりは個人差が大きく、症状の程度や期間も異なります。
- 眠気:妊娠すると、ホルモンバランスの変化によって眠気を感じやすくなります。
- 胸の張り:胸の張りや痛みを感じることがあります。
- 腹部の違和感:腹痛や下腹部の張りなどを感じる場合があります。
- 便秘:便秘になりやすい人もいます。
- 頻尿:尿意を頻繁に感じ、トイレに行く回数が増えることがあります。
- おりものの変化:おりものの量や色が変わることがあります。
これらの症状が重なって現れた場合は、妊娠の可能性が高いと考えられます。
思い込み妊娠(想像妊娠)と実際の妊娠初期症状の見分け方

思い込み妊娠(想像妊娠)と実際の妊娠初期症状の見分け方としては、まず基礎体温を1週間以上測り、高温期が続いているか確認することが重要です。
また、妊娠検査薬を使用したり、婦人科を受診して超音波検査を受けることで、より正確な判断ができます。
基礎体温の確認

- 高温期が続く:妊娠している可能性が高い. 基礎体温は、排卵後の黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響で高温期が続きます.
- 高温期が途中で低温期へ:想像妊娠の可能性が高い. 妊娠していない場合は、排卵後1週間程度でプロゲステロンが減少し、基礎体温も低下します.

妊娠初期症状と想像妊娠は、症状に違いがないため、基礎体温を測り続けることが重要であり、生理周期を把握し、高温期が続いているかを確認することで、妊娠の可能性を判断できます。
生理が遅れており、かつ平熱よりも高めの高温期が5日以上続いている場合は、妊娠の可能性が高いとされています。
途中から低温期に入った場合は想像妊娠である可能性が高いです。
高温期の継続

妊娠している場合、排卵後も高温期が続きます。
想像妊娠の場合も、体温が高くなる傾向がありますが、生理が来る前に低温期に入るのが特徴です。
妊娠検査薬の使用



- 陽性::妊娠している可能性が高い. 検査薬で陽性反応が出たら、婦人科を受診して超音波検査を受けるのがおすすめです.
- 陰性::想像妊娠の可能性が高い.
妊娠の可能性を感じたら、生理予定日の1週間後あたりから妊娠検査薬を使用してみましょう。
検査薬で陰性であれば想像妊娠の可能性が高く、陽性反応が出た場合は妊娠の可能性が高いです。
婦人科を受診

超音波検査::妊娠しているかどうかを確認できます. 超音波検査で胎児が確認されれば、妊娠が確定します.
妊娠検査薬で陰性反応が確認され、産婦人科での超音波検査でも胎児が確認されない場合、想像妊娠である可能性が高いと診断されます.
妊娠の可能性が高い場合や、検査結果が陰性でも症状が続く場合は、婦人科を受診して医師に相談することをおすすめします。
その他の症状

妊娠初期には、生理の遅れだけでなく、胸の張り、眠気、吐き気、食欲の変化など、様々な症状が現れることがあります。
これらの症状は、想像妊娠でも感じられる場合がありますが、基礎体温の確認と妊娠検査薬の利用で、妊娠の有無を判断できます。
思い込み妊娠は、心理的な影響で生理前の症状と似た症状が出ることがあります。
精神的な不安やストレス、ホルモンバランスの変化も影響している可能性がありますので、不安な場合は、医師に相談しましょう.
妊娠初期症状と生理前症状の違いのまとめとポイント

妊娠していない場合は、生理予定日を過ぎると基礎体温が下がりますが、妊娠している場合は生理予定日を過ぎても高温期が続きます。
妊娠初期症状はPMSと似た症状が多く自己判断が難しい時期ですので、不安な場合は医療機関を受診し、専門家の意見を聞くことで安心感を得られます。
思い込み妊娠(想像妊娠)の場合、生理が遅れることもありますが、実際には排卵や生理周期が乱れているだけです。
思い込み妊娠(想像妊娠)の場合、妊娠検査薬で陰性になります。
思い込み妊娠(想像妊娠)で、お腹が大きくなることはありません。
つわりのような症状が出ることはありますが、実際には吐き気や食欲不振は、精神的なストレスによる可能性があります。
まとめ

「思い込み妊娠」は、妊娠していないのに妊娠していると錯覚してしまう状態であり、妊娠初期の症状に似た症状が現れる場合がありますが、実際には妊娠していません。
妊娠検査薬や基礎体温で判断したり、産婦人科を受診するなどして、正確な状態を確認することが大切です。
心理的な要因が影響して、実際には妊娠していないにもかかわらず、妊娠しているような症状が現れる状態であれば、カウンセリングや精神的なサポートが必要な場合があります。
想像妊娠は、妊娠していると勘違いして、体に負担をかける可能性があるため、早めに医師に相談することが大切です。