産科 出産

異所性妊娠の診断、経過、原因と種類、治療、治療終了後について



こんにちは産婦人科専門医のとんたんです

この記事をご覧になっている方は異所性妊娠と診断、またはその疑いがあると言われた方がほとんどだと思います。

異所性妊娠は非常に危険な疾患です

妊娠反応が陽性になり妊娠したと思ったところで、急に異所性妊娠などと言われて不安に思ってる方も多いでしょう

この記事を読むことで異所性妊娠の診断、経過、治療、原因などを知ることができます

結論

結論からお話しすると

妊娠反応陽性で子宮内に胎嚢が見えない場合は異所性妊娠を疑います

異所性妊娠が正常妊娠に戻る事はありません

原則手術か抗がん剤を使った治療が必要になります

クラミジアや子宮内膜症といった卵管の癒着、体外受精、喫煙、帝王切開や子宮筋腫核出術といった子宮の手術が原因になります

以下詳しく説明します

診断

妊娠反応陽性で子宮内に胎嚢が見えない場合異所性妊娠を疑います

ここで卵管内に胎嚢が確認できれば診断できます

しかし子宮内外に胎嚢が確認できず1回の診察で診断できないことが多いです

このような場合は1週間以内に再診となり、その時にもまだ胎嚢が見えないようであれば異所性妊娠を考えて精査が行われます

とはいえ妊娠反応陽性で胎嚢が見えない場合でも、正常妊娠の初期もしくは流産の可能性が高いです

1回の診察で胎嚢が見えなくてもあまり不安にならないでくださいね

経過

異所性妊娠は正常妊娠に戻ることはありません

妊娠を継続する上では受精した卵子が子宮体部の内膜に着床することが重要です

異所性妊娠と言われるものはこの体部内膜以外のところに着床してしまうために起こります

そのために正常に育つことができません

非常に残念なことですが正常妊娠に戻すことができないので、まず異所性妊娠の治療をしっかりと行って、ご自身が回復した後で次の妊娠を考えてもらうことが重要です。

種類

腹膜妊娠

排卵した卵子が卵管に入らないでお腹の中に入ってしまうもの

卵管妊娠

卵子が卵管を通過中に着床してしまうもの

異所性妊娠の90%以上がこれにあたります

頸管妊娠

子宮体部を通過してしまい子宮の入り口にあたる子宮頸管で着床してしまうもの

瘢痕部妊娠

帝王切開などの子宮手術の傷口のところに着床してしまうもの

妊娠の90%以上は卵管妊娠と言われています

原因

クラミジアや子宮内膜症

これらの疾患は卵管内の癒着を引き起こし卵管の通過障害から異所性妊娠を引き起こします

体外受精

受精卵を子宮内に戻すときに位置がずれてしまい、卵管に入ったり子宮頸管に落ちてきたりして異所性妊娠となります

喫煙

異所性妊娠のリスクが2倍になると言われています。

帝王切開や子宮手術

手術の傷跡の部分に受精卵が着床してしまい瘢痕部妊娠と言う異所性妊娠となります

治療

卵管妊娠かそれ以外かで内容が異なります

卵管妊娠の場合

多くの場合は腹腔鏡下での手術となります

痛みが強かったり出血が多い場合は卵管破裂が疑われ緊急で回復での手術になります

手術は、異所性妊娠部位を卵管ごと切除する卵管切除術か、異所性妊娠部位のみを切除し卵管を温存する卵管線状切開術の2つがあります

卵管切除をした場合

卵管ごと異所性妊娠部位を切除しているので取り残したなどで再手術になることはまずありません

卵管卵巣は左右で2つあるので、自然妊娠ができなくなるわけではありません

ただし片側の卵管を切除しているために妊娠する可能性が少し低くなるかもしれません

卵管線状切開を行った場合

異所性妊娠部位の取り残しがあったり再手術をする可能性があります

卵管を温存できると言うメリットはありますがその卵管の手術によってできた傷口の部分に再度異所性妊娠を引き起こすリスクがあります

どちらの手術を行うかはそれぞれの患者さん次第によるのでよく主治医の先生とお話し下さい

個人的な意見としては卵管線状切開で卵管を温存して異所性勢妊娠を再発するリスクがあるため卵管切除をお勧めする場合が多いです

ただしすでに片側の卵管を切除されており、今回の異所性妊娠で両足の卵管を失ってしまうような場合は、卵管を温存する意味は充分あると思います

卵管妊娠以外

この場合手術をすることが難しかたつたり、リスクが高いためそれぞれの状態によって対応が変わります

MTXと言う抗がん剤や子宮に向かう血流をを阻害させるための血管内治療や手術などを組み合わせて治療を行います

治療後について

どの治療であっても、hCGという妊娠によるホルモンが陰性になったのを確認したら治療終了です。

その後1、2ヶ月くらいで生理が再開します。2ヶ月たっても生理が再開しない場合は一度病院を受診してください。

多くの場合、2回生理が来たら、次回妊娠を計画できますが、治療内容や状態によるので、次回妊娠の計画時期は主治医と相談してください。

しかし、異所性妊娠は繰り返し起こすことがあるので、クラミジアの検査や、卵管に異常がないか卵管造影という検査をしたり、喫煙所は禁煙したり、異所性妊娠を繰り返さないように準備してから次回妊娠を検討してください。

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とんたん

ブログを見ていただいてありがとうございます。 産婦人科専門医、周産期新生児専門医のとんたんです 産婦人科看護師の嫁と一緒にブログ運営しています このブログでは出産前後の医療的な記事や、ママさん看護師や共働きの家庭に向けた記事を描いています 妊婦さん、ママさんのにためになるようなサイトを目指してがんばります   ▼△▼△医師とんたんの専門について▼△▼△ 産婦人科医で専門は産科全般です。 総合周産期施設で10年勤務し、今も公立病院にて実際に分娩を取ったり、帝王切開などの手術の執刀、妊婦健診をはじめとした外来診療も行っています。 産婦人科専門医のほかに、周産期専門医と超音波専門医を取得しています。 妊娠、出産に関してわからないことがあれば分かりやすくお教えいたします。 また超音波専門医も取得しているので、妊婦健診などのエコーなどでわからないこと、聞きたいことがあれば気軽にご相談ください。 *性別のご確認や、エコーの詳しい内容の説明など

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